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7話 すれ違う後悔と、冷えた心

مؤلف: みみっく
last update تاريخ النشر: 2025-10-21 19:00:53

 まあ、自業自得というか……。そう思ってしまう自分がいた。自分で選んだ男だろ? 望み通り美形で金持ちの男と付き合えて、喜んでいたんだから、それで良いじゃないか。そう心の中で冷たく呟きながら、俺は、遠くで一人佇むカオルを冷めた気持ちで見ていた。

 以前の俺なら、きっと駆け寄っていたかもしれない。話を聞いて、力になりたいと願っていたかもしれない。でも、今の俺には、そんな感情はもう残っていなかった。彼女に突き放され、心を深く傷つけられたあの時の痛みが、俺の感情を麻痺させていた。

 彼女の孤独な姿は、俺の心を揺さぶらない。それどころか、どこかでざまあみろ、というような、醜い感情が芽生えていることさえ自覚していた。かつての優しい思い出は、今ではただの幻影にすぎない。もう、俺の心の中に、彼女を想う純粋な気持ちは残っていなかった。

 学校の帰り道、昇降口を出たところで、またしてもカオルが俺に声を掛けてきた。秋の冷たい風が、彼女のポニーテールを揺らす。

「ゆ、ユウくん……? 一緒に帰ろ?」

 その声は、以前の自信に満ちたものとはまるで違っていた。どこか怯えているようで、緊張しているのがありありとわかる。彼女の視線は定まらず、俺の顔色を窺うように揺れ動いていた。

「好きな人が出来たんだろ? そいつと帰れよ。俺は関わる気はねーよ」

 俺が突き放すようにそう言うと、カオルは俯いたまま、か細い声で話し始めた。ポニーテールが、力なく揺れている。

「……それ、ダメだったの。わたしなんか相手にされるわけないのに、喜んじゃって……舞い上がって、周りが見えてなかった」

 急に話し出したかと思えば、彼女は潤んだ瞳で俺を見上げてきた。まるで俺が彼女を泣かせたかのような目だ。その瞬間、ちょうど下校中の生徒たちが、好奇心に満ちた視線を二人に向け始めていた。彼らの視線が、まるで鋭い刃のように俺とカオルを切り裂いていく。俺は、その視線から逃れるように、カオルからさらに一歩距離を取った。

 正直なところ、もう関わる気はまったくなかった。俺を見下すような言い方で告白を断り、俺から離れていったのはカオルの方だ。それなのに、彼氏とうまくいかなくなったからと、今さら声をかけてくるのか。俺とどうしたいんだよ? クラスで一人でいるのが辛いから、俺を利用しようとしているのか? それは全部、カオルが自分で選んだ道だろう。

 話しているだけで、胸が締め付けられるように苦しい。頼むから、もう俺に近づかないでくれ。友達が欲しいなら、自分で作り直してくれよ。そう言いたいのを必死で堪える。

「はぁ……じゃ、帰るか……」

 俺は深く溜息をつき、カオルに背を向けたまま、言葉を振り絞るようにそう呟いた。この場から一刻も早く立ち去りたかった。

 カオルは、俺が立ち去ろうとするのを必死に引き留めるように、再び声をかけてきた。彼女の震える声が、夕暮れの空に吸い込まれていく。

「ユウくんの家に……久しぶりに行きたいな……」

 その言葉に、俺は思わず足を止めた。久しぶりに、二人で互いの家を行き来していた、あの無邪気な頃の声色を思い出し、胸の奥がざわつく。しかし、すぐに頭を冷やし、冷たく言い放った。

「は? 何でだよ。彼氏とダメになったから、今さら俺と一緒にいたいとか?」

「……だめ?」

 なんと、カオルはそれを否定しなかった。その上、珍しく俺を上目遣いで見つめてくる。子犬のような潤んだ瞳で、可愛らしくお願いされると、俺の心は少しだけ揺らいでしまう。だが、同時に、彼女の身勝手さに、またしても嫌悪感が胸に込み上げてきた。

 一度は俺を突き放したくせに、都合が悪くなったら、また昔の関係に戻ろうとするのか。その甘えに、俺はもう付き合う気にはなれなかった。彼女の寂しそうな表情と、自分の受けた傷の痛みが、俺の中で激しくぶつかり合っていた。

「いや、お前、俺の告白をはっきり断ったよな?」

 俺の言葉に、カオルはわずかに俯いた。

「だから……後悔してるって言ったよね?」

 彼女の声は、震えていた。その言葉に、俺は眉をひそめる。

「いや、『ひどいことを言ってごめん』とは聞いたが……断ったのを後悔してる、なんてのは初耳だぞ?」

 俺の言葉に、カオルは小さく息を漏らす。そして、もう一度だけ、俺の顔を伺うように見上げてきた。その瞳には、今にも零れ落ちそうな涙が溜まっていた。

「……ごめんね?」

 その声は、消え入りそうなほどに小さく、か細い。周囲の生徒たちの視線が、まるで鋭い針のように、チクチクと肌を刺すように感じられた。俺は、その場に立ち尽くしたまま、動けずにいた。彼女の言葉は、俺の心をわずかに揺らしたが、それ以上に、この状況に対する不快感と戸惑いが、俺の心を支配していた。

 俺は、カオルの瞳からゆっくりと視線を逸らした。もう、彼女の潤んだ瞳に惑わされたくなかった。

「遠慮しておくわ。どうせ、また美形でお金持ちの彼氏ができて、さよならする気だろ」

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